骨肉分離機、POSS、BEEHIVEなど チキンミンチの本当の品質を評価 旅の楽しい話
TATS紀行
        負けてたまるか Never Beaten    2009年8月の涼しい夏

 私のカウボーイ時代のピータース牧場の孫いとこ一族が、8月1日にシャスタ山麓のリゾートに集まりました。サンフランシスコ到着、乗継までに空港内のワインショップをのぞいたらMendocina County産と赤ワインのラベルにありました。メンドシーナ郡は、尊敬するピータースさんの故郷だから即買いました。
 Seabiscuit Ranch製造ならアメリカ人のお気に入りで伝説の競走馬シービスケットの牧場の名前だとは知ってましたが,,,,,,,,,。2年に1回の家族会に遅れて到着してまずピータースさんと握手。これで一杯やりましょうと取り出したら「Tats! どこで手に入れた?」?
 シービスケット牧場は毎年父親が乾草取りで働いた処よと奥さんのリン。
一昨年亡くなった弟ハリーの未亡人アイリーンからは, この瓶は私がもらうわと決めつけられました。味の濃い赤ワインとスペアリブのバーベキューは美味しかった。
 シービスケットは、三流の競走馬が立ち直って勝ち続けてトップまでのし上がったから大恐慌後の1938年(昭和13年)の世の中に希望と勇気を与えてくれた時代の超人気者でした。でもMr.Petresが「弟ハリーは海軍復員後、この牧場で働いていたからシービスケットを毎日見ていたんだよ。懐かしいね。ハリーを想いださせてくれた」 
*本 シービスケット ソニーマガジンズ発行*映画 シービスケット*

 それからアイオワ州南部へ飛びました。翌朝セールスマンのジェリーと大手缶詰ソーセージメーカーでの仕事です。毎日200トンものチキンミンチを使っている工場から品質検査の指導の話があったのでした。この経済下だから安い$1の缶詰はよく売れていて、忙しいとのことです。だけど待てよという疑問が出てきて品質とはどうしたら検査していいのかと私に依頼がきたわけです。
1日かかった結論は・・・それがどうだったかは、別に書きますからお楽しみに/

 Armour社のあとは西へ交代しつつ運転してどんどん走りました。Jerryの食品機械部品メーカーTPM社も部品の販売だけでなく、食品機械修理の仕事が増えています。誰も新規投資よりも現在のもので何とかしたいはずです。これだって新しいニーズです。
 この夏は涼しくて雨がありません。コーン畑が両側に延々と続く真ん中のハイウエイを走っても、走っても次の訪問先はまだ遠い。コーンの生育には大いにバラツキがあるような感じ。今年の収穫が気になります。
 一般的には工場で機械工務の担当者と商談しても注文をくれるのは購買の人。大きい組織でM&Aが繰り返されているうちに誰に商談していいのかわからないのが実態となってきているようです。組織同士のコンピューターが相いれないから相乗効果なんて現場では出にくいのが実態。 困るのは現場の実務者。アポイントがはっきりできてない豚肉工場で受付を通りがかった人に声をかけたら 「うちはどうしたらいいのか困っている処だ。見てくれないか」偶然にもこの人が製造部長だった。直に関係者が集められて機械を止めて見せてくれました。ジェリーはそのウルフキング挽肉機の摩耗具合を指摘し、私は金属異物が出かけている部分をおしえました。アメリカの工場は人の移動が激しいから管理レベルの失速も大きいロスになります。安い食品へと消費が動いているご時世にクレームなんて誰もほしくない。業績の悪化は失業につながります。2日後この会社から部品の総入れ替えの注文が来ました。双方ともラッキーでした。
 毎日こんなことを繰り返して西北部のスーシテイSioux Cityにやっと疲れてたどり着いたのが8時すぎ。往年の人気エレキギターバンドZ-Z-Topがコンサートをしているよ。「Tats 行こうよ。」団塊の世代である我々には,懐かしいエレキのテケテケです。会場は熟年のオジサンおばさんばかりで20代なんて来ていない。物凄いビートが身体を揺さぶってくれます。 それより声オー出して腰を振り踊り狂っている人の波。俺たちは若くないけどまだ負けないぞって気持ちを共感した気になりました。

 5日間で1800マイル(2900km)走ってウイスコンシン州の田舎へ帰りました。その途中ミネソタ州Northfieldは有名なジェシー・ジェームスの銀行強盗があった町だからとお勧めで立ち寄りました。小さな町そのものが歴史博物館。歴史に悪名高い彼らが唯一強盗に成功しなかった町であり、これで多くのアウトローが逮捕されたのです。有名な言葉「みんな!銃を取れ! 銀行強盗だ!」と金庫を開けるのを拒否して犠牲になった銀行員を今だに英雄として記念してある。それだけなんだけれど、正にアメリカそのもの。 
ウイスコンシンの田舎は友人宅でお決まりの部屋に泊り、牛に餌をあげるのを手伝う。
緑のつらなるコーン畑と夕日を見ながらビールを片手に静かで贅沢な一刻です。
新しい発想がうかんだし、疲れを癒しました。
立ち寄る予定もなかったのに古い友人の居るロスアンジェルスへ訪ねて2泊。
柴田君の鶏肉工場の作業員はすべてメキシコ人。
仕事ないですか?とやってくる人が多いそうです。
カルフォルニアはこれから本当に悪くなってくるという話を聞きました。消費税が今年になって2回も上がって19.75%です。それでも州政府は赤字とのこと。レストランだと食べ切れない量が皿にのってきて、昼飯でもチップを入れたら$15にはなってしまうから人はファーストフードをもっと利用する傾向だそうです。
だからコーンの出来不出来で大いに影響がでます。唐揚げの鶏の餌、コーン油もエタノール入りのガソリンもコーンにつながっている。もっと変化してゆくから失業や・・・・・がといういやな予想も頭をかすめました。

メキシカンの昼飯を会社の若い美人とすませて事務所に帰ってくると柴田君はネクタイ/スーツ姿の2人のお客と会っていました。LAでネクタイしているのは、日系の銀行員ぐらいしかいない。
ニヤニヤして柴田社長は、「うれしくて顔がひきつるよ。やっと復讐してやった」2年前にMACSEIは融資を突然すべて引き揚げられたそうでした。理由はスコア評価がその邦銀行の基準より下がったからだそうです。
人を信じず,コンピューターの打ち出す数値に忠実に引き剥がしをやってくれたDMF(あまりにも汚い言葉なので日本語に訳せません)だったのでした。カード会社も同様。そうなったから自己資金で回してやれる力もノウハウもついた。でも我慢していつか融資の話をしに来るから仇を取ろうと待っていた、その時だったわけだ。
「我が社は今後あなた方と取引はしません。それに現金口座をすべて他行へ移します」千両役者のセリフ! 
復讐万歳!よくやった! その晩はオレの奢りで高い日本酒一升瓶を空にするまでカンパーイ!

我々baby boomer団塊の世代は、まだまだ時代を乗り切ってゆく力をもっている。世界中が変化の真っただ中にいる。こんな時代に復讐してやろうぜ。 シービスケットが勇気をもって時代の体制と闘ったように。
 石井達雄

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