骨肉分離機、POSS、BEEHIVEなど チキンミンチの本当の品質を評価 旅の楽しい話
TATS紀行
タツマスター3XD 納入前夜         2008年11−12月

TATSMASTER 3XD=牛肉の筋抜き挽き肉機械
用途: 3つのモーターをインバーター制御して
    柔らかい牛ひき肉をつくる
納め先: フランス 
私がデザインしてアメリカで製造したこの機械は、
骨肉分離もできるが細かい筋も切り分けて挽肉にする
ためにデザインを変えて3XDという機種にしました。
タツマスターの3台目で初めての海外輸出です。

11月26日(水)
パリ行きの日。そろそろ成田空港へ行うとしていた時、フランスの納入先の担当者シリルから電話がありました。「まだ機械が入って来ないのだけど・・・?」 いやな予感

11月27日(木)
日本からの我々3人はパリ・ドゴール空港から新幹線のTGVで南西の中部フランスへ。
Niort駅に食肉会社オーナーのダニエルのお父さんピエールが待っていてくれました。
まずは昼飯へ連れていかれて、シャンペーンで乾杯! 今日は工場へ行くことはないよ。そうですか。
明日を楽しみに・・では電話で・・「何! 通関できずに保留だと!」

11月28日(金) 
機械の作業安全性と品質を保証した第三者機関の保証書がないから、ヨーロッパでの販売と使用を許可しないとの税関の見解だそうだ。アメリカの船会社は何にもしていなかった。
ダニエルの会社は、この柔らかい牛ひき肉の加熱加工品をEC各国に輸出して成功しています。
稼働しているのはRaptorという技術的にはタツマスターのおじさんにあたる機械です。
この機械の時は、なんにも言われなかったとのダニエルの話。 紙1枚がないために、クソ!

11月29日(土)
今日はChasse a courre 鹿狩りに行く日です。
鹿狩りはこれで9回目。狩りから学ぶことは多い 
最初に見つけた鹿を最後まで追いかける。途中で捕まえやすそうな獲物が、目の前にきても変えてはいけない鉄則がある。
小雨がシトシト降る中を騎馬の狩人たちは泥水を蹴り上げて進む。普段はドッグマスターの先頭ラインへ入れないはずの私が前に出てしまった。猟犬の群れを捲いて大柄の牝鹿が逃げてゆく。急に気が変わったのか、斜めに曲がった。
そこへ横から走ってきた犬が噛みついて獲った。 
           [教訓@目標を変えるな!]

12月1日(月)
 アメリカから製造元TPM社のジムが到着。
通関業者との話はラチがあかない。 シリルに「明朝みんなで会いに行こう。アポを取ってくれ」中世からの歴史ある港町ラ・ロシェールへ移動。
          [教訓A鹿が見つからなかったらもう一歩森の中へ入れ]

12月2日(火)
通関業者はあわてた。何度も目のまえで税関へ電話した。 最悪はアメリカへ
積み戻して書類を作って・・・・  ダニエルと協議。 午後,安全局APAVEと相談したシリルは、「安全局が保証する仮許可を申請してみては、」とのアドバイスを得た。Today is better than yesterday.

12月3日(水) 
税関に短期の仮許可の申請をする。  携帯電話のバッテリーがダメになった。

12月4日(木) 
返事なし。 携帯が使えない。

12月5日(金) 
返事なし
ヨーシ みんな帰ろう。日本、USAへ帰国。出直だ!
       [教訓B音をたてて鹿を逃がすな]   余計なことをして悪くするよりも機会を待とう。


12月14日(日) 
仮許可が下りた! エールフランスの夜行便で成田を出発した。
受け入れの際に輸出者の立ち会いが求められているとの事。月曜日の仮納入の時に役人が来るので昼食を一緒にするつもりで早く来てほしいとの要請に間に合うように早朝のTGV―フランスの新幹線―を乗り継ぎ、レンタカーで工場に到着。 役人は来ない。機械も明日だと。

12月16日(火) 
オルネー村の広場に面したhotel<フランス語はHを発音しないからオテル>で快適な朝。
午後 待っていたタツマスターの木箱4ケが届く。 でも、許可の連絡があるまでは、箱から出して設置してはいけない??? との指示あり。お役所って何を考えているんだ。 5時に退社。
ともかく シャンペーンだ。乾杯だ! 村の酒場で一人焼け酒。

12月17日(水)
社長のフィリッペが「Tats いつから機械は使えるのかい?」Got damn 俺に聞くな!
「シリル 木箱を開けるぞ」「まだ 電話が来ないからだめだ」「役人が来たら、閉じるから大丈夫だ」 
パスカル工場長に「工務のギィーを手伝いがほしい」「Wei 私も手伝う」
午後2時 シリルが握手を求めてきた「通関許可が下りた」 誰も検査に来なかった。Fuck you.
日本製の電気配電盤もすべて良好な状態であった。製造してくれたRoger/アメリカに電話する。
Merciメルシー でなくてサンキューThank you/

12月18日(木) 
今朝は深い霧で視界が悪い。冬なのになんで濃い霧がでるのだ。
フランスでは12月1日からはどこの町並でもクリスマス飾りつけが始まっていて、家庭でも店でも飾りつけ完了って感じ。うきうきした感じが何処でも感じる。手際よく電線を持ってきた電気屋も8時には仕事を始めた。
TATSMASTER 3XD設置したタツマスター3XDを作業員たちがのぞきにきては、beautiful machine!とだけ英語で言う。フランス人は英語が苦手で話そうともしない。機械の組立の指導だけでも始めたくても生産が多くて手が空かない様子。この国の牛肉は固いものばかり、だからこの会社の商品が売れるわけだ。しょうがないから食堂で折り紙の鶴を折って時間を潰す。オテルへ戻っても夕食前は片手にコニャックシュプレッツを片手に鶴や玉手箱 馬 鹿までも折る。

12月22日(月)  
3日かかっても電気配線は終わらない。あと2日かかるぐらい遅い。組立指導はやっと一人に教えることができた。すごいこの機械!早く動かしたい!と言っている。
安全局APAVEが1月6日に検査に来て許可が下りないと稼働できない、私も支払ってもらえないという日程が決まった。ようやく本番となる。 クリスマスだから工場のみんなに折り紙をプレゼント。
喜んでくれたが、何故か鶴よりもカラスを好む。鶴はフランスにいないから・・    
私も家に帰ろう。 Merry Christmas クリスマスは家で、  また正月に来なきゃ。   (つづく)

                                      Reporter :  Tats Ishii

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