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TATS紀行 トウモロコシ・レポート−2008収穫の秋―
コーンベルト地帯を走る 2008年10月20日
7月のUSA旅紀行で「今年のアメリカのコーンは不作になるかもしれない?」との不安を書きました。
その収穫時期の今、見てきたことを報告します。
コーンベルト地帯のど真ん中アイオワ州の秋の色、トウモロコシは9月−10月中旬まで畑で立ち枯れさせてから収穫されます
10月19-20日と中西部に広がるトウモロコシ畑の世界を10時間かけて縦断しました。ウイスコンシン州からレンタカーでミネソタ州南部を西へ、それからアイオワ州西部を南に下ってネブラスカ州オマハまでの3人旅。コーンと大豆の立ち枯れした畑で大型コンバインがどこでも収穫していました。夜もライトをつけて収穫です。我々は作柄の情報集めにロングドライブをしたのではありません。1日35000羽の七面鳥を処理する工場見学に出かけた途中の秋の光景でした。
行けども、行けども道路の両側はコーン。コーンベルトという大きさを実感し且つ感激大なるものがありました。5月の植え付き時に雨と低温。7月まで雨が続いていて農家は心配していました。毎月来ていた私は同じ田舎道を走っていてコーンの育ちの悪さを見ていたので来年の餌価格が心配になっていました。
それが 8月の暑さが、地中に余りある水分でコーンに命を与えたのでしょうか。 大自然のパワーです。 兼業農家で機械加工会社社長のロジャーは、150hの畑にコーン、大豆、牧草をつくっています。仕事から帰ってからコンバインを動かしての収穫作業は、息子と毎晩深夜におよんでました。彼は「まずまずの平年作だろう」と言います。 アイオワの七面鳥工場の工場長は「イヤー!助かったよ。えさ代が上がってしまえばコストが赤字になるとこだった。 今の経済下では値上げが難しいからね。」
田舎道のコンビであった親切なアメリカ人に「How about corn?」と聞くと「Not too bad」That’s all right.![]()
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・ロジャーにどうして夜に収穫するんだいと聞くと「今朝は霧があった。昼が晴れていて風がありそうだ。
コーンを水分量12%以下にしないといけないから昼間に乾燥させて夜に収穫するしかない」 <納得>
・ 彼のトラクターに乗せてもらう。 ナビがついている。セットして作業開始!
これで狭い間隔を正確に植え付け、耕土、収穫と夜でもやれるわけだ。
・ 右の写真は畑から盗んできたものです。 種類がちがうかもしれないけど出来不出来を見るのに中央の周囲が何列あるのかを数えるそうです。[左はアイオワ 16列 中がミネソタ 16列 左のウイスコンシン 14列] 生産歩留りは違ってくるよね
・1つの茎に1本のコーン 同じ高さにそろってついています−収穫しやすい−
・ ウイスコンシンの土は多少粘土の混じった茶色、 アイオワに近くなると黒い土でした。アイオワは全く平地。西南部は丘陵があって、コーンの段々畑がつづいていました。 日本の水田の段々畑を拡大したようなものです。カッコいい。 大きい重い機械が働くための工夫・ エタノール製造工場も途中の畑の中に見えました。ガソリンに混ぜる比率は州の法律によって違うそうですが、安いガソリンになれば誰でも車に入れるよね・農家は自分で相場をにらんで自分でコーンを売ります。安ければ肥育の牛を増やして餌にする
・「“トウモロコシ”から読む世界経済―江藤隆司著 光文社新書」に興味深いお話が紹介されています
農家の人は3つのキャラクターをもっている @貪欲―相場が上がるとみたら待っていて売ろうとしないA独立心−政府の方針に副わない/自分のやりたいことをやる B保守的−頑固
我々は毎日コーンを食べている。例えばファーストフードでのフライドチキン(餌を通して)、コーン油、スターチ、スナック、カーネルコーン、直接でなくても間接的に何かの形で毎日口に入っています。
来年の家畜のえさ価格は、あんまり心配しないでよいかもしれません。 円高でもあるし。 良かった
Reporter: Tats Ishii